理想のバルクアップ・カロリー・PFCバランスを解説!

バルクアップとは何か

バルクアップ」とは、トレーニングや食事により筋肉を肥大させ、身体を大きくすることです。昨今のトレーニングブームにより、この「バルクアップ」に取り組み、理想の身体を目指す方々も多いのではないでしょうか。今回は、理想のバルクアップとバルクアップの種類、それらを実現するためのカロリーやPFCバランスを詳しく解説します!

バルクアップの原理~カロリー収支の原則~

バルクアップ、即ち筋肉量を増やし、体重の増加を実現にするには、まず「1日の総摂取カロリーが、1日の総消費カロリーを上回る」というカロリー収支の原則を守る必要があります。如何に高水準のトレーニングをしようと、この原則を守ることができなければ、バルクアップを実現することは永遠に不可能です。まずはこのカロリー収支をクリアする必要があるということを頭に入れておきましょう。

バルクアップの種類

一口にバルクアップと言っても、バルクアップには大きく分けて3つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、どのバルクアップ法が自分にとって最適なのか、それらを見極めていく必要があります。それでは、これから3つのバルクアップ法を紹介していきます。 (バルクアップ時の理想の体脂肪率についてはこちら!)

 

 ○ダーティバルク

 

恐らく、多くの方々が想像する、所謂増量!というバルクアップ法が、この「ダーティバルク」です。簡潔に言えば、栄養素を気にすることなく、とにかくハイカロリーな食材をなんでも食べ、トータルカロリーを稼ぐ方法です。食べるものに制限がなく、好きなものを好きな時間に好きなだけ食べることができるため、精神的負担もなく、大幅なオーバーカロリーによる急激な体重増加が見込めます。しかしながら、PFCバランスを気にすることなく、脂質を多量に含むジャンクフードなどを大量に摂取し、過剰なまでのオーバーカロリーを生み出してしまうため、必要以上に体脂肪が蓄積してしまう原因にもなります。

 

 ○ク リーンバルク

 

先程のダーティバルクとは打って変わって、ある程度食材を固定し、無駄な脂質などを極力控えた食事で、バルクアップを目指す方法です。意図的にオーバーカロリーな状況を作り出すため、少なからず体脂肪の増加も起きてはしまうものの、米や鶏肉、卵や魚類など、文字通り「クリーン」な食事を摂取するため、ダーティバルクと比較すると、その割合は大幅に軽減することができ、また臓器への負担等も抑えることができます。

 

 ○リーンバルク

そして3つ目となる方法が、「リーンバルク」です。「リーン」とは英語で、「無駄な脂肪がない」「引き締まっている」という意味であり、その名の通り、体脂肪の増加を最小限に抑え筋肉量の増加を狙うバルクアップ法です。これだけ聞くと、先述のクリーンバルクと何が違うのかと思われるかもしれませんが、クリーンバルクは食材こそある程度限定し、PFCバランスに気遣うものの、上限のカロリーが設定されていないため、決められた食材であれば好きなだけ食べられる方法であるのに対し、リーンバルクでは、毎日メンテナンスカロリー(体重が増えも減りもしないカロリー)+300〜500kcalの摂取を目安とするため、より体脂肪の蓄積を抑制することができます。そのため、1年中良いコンディションを保つことが可能であり、減量を行う際に大きなアドバンテージを得ることができます。

それぞれのメリット・デメリット

これまで3種類のバルクアップ法について説明してきましたが、これからはそれぞれのバルクアップ法のメリットとデメリットを解説していきます。

まずダーティバルク最大のメリットは、圧倒的な筋肉量の増加率です。クリーンバルクやリーンバルクと比較し、体重はもとより筋肉量も有意に向上しやすいです。ある実験では、平均体重90kgのエリートボディビルダーらが、約1ヶ月間6000kcalを摂取した結果、4500kcalを摂取したグループと比較して、約2.7倍もの筋肉量の増加を見せたというデータがあります。しかしながら、前者は後者に対し、体脂肪も9倍弱増加したため、筋肉量を得るという大きなメリットと引き換えに、多量の体脂肪を蓄積してしまうというデメリットも同時に持ち合わせているのです。

クリーンバルクは筋肉量の増加率こそ、ダーティバルクの後塵を拝しますが、体脂肪の増加を抑制することができます。謂わばダーティバルクとクリーンバルクは、亀とウサギのレースのような関係性であり、ダーティバルクは筋肉量も増えやすいが、減量が長期化する事が必至で、その際に筋肉量も落ちやすいため、残る筋肉量は結果としてクリーンバルクと大差がつかない可能性があります。

リーンバルクは先述の通りメンテナンスカロリー+300〜500kcalを保つため、クリーンバルク以上に体脂肪増加を抑えながらのバルクアップが可能ですが、それ故にダーティバルクはおろか、クリーンバルクと比較しても、筋肉量の増加率では劣ってしまいます。そのため、減量の際のアドバンテージを得られる代わりに、前者2つと比較すると、筋肉量の大幅な増加は難しいと言えます。 

理想のPFCバランスは?

ではここで、それぞれのバルクアップ法における、理想のPFCバランスを紹介します。PFCバランスとは、P(タンパク質)、F(脂質).、C(炭水化物)ら3大栄養素のバランスの事を指します。

ダーティバルクは、基本的に何でも食べて大量にカロリーを稼ぐことが目的であるため、タンパク質を体重の×2以上摂取できてさえいれば、特にPFCバランスの指定はありません。とにかくカロリーを稼ぎ、そのエネルギーを活かしてハードにトレーニングすることが大切です。

クリーンバルクでは、基本的にPFCバランスが3:2:5或いは3:1:6になるように設定します。脂質をある程度控え、体重×2〜3のタンパク質、そして残りを炭水化物で摂るようにします。カロリーの上限はないため、そのPFCバランスの範囲内であり、目標の摂取カロリーを上回ってさえいれば、それ以上の摂取は自由となります。

リーンバルクでは、先述のクリーンバルクと同じPFCバランスに加え、メンテナンスカロリー+300〜500以内に摂取カロリーを抑えます。そのため、バルクアップ期であっても食材と量にこだわる必要があります。

あなたに最適のバルクアップ法は?

ここからは、あなたにバルクアップ法が最適なのか、なぜそれが当てはまるのかを解説していきます。

あなたがもし、トレーニングを開始してから3年以内の新人トレーニーであれば、ダーティバルクがオススメです。トレーニング開始から1年の間では、筋肉量が5〜10kg程増加することも珍しくなく、3年目程までは筋肉量の増加が顕著に現れます。所謂初心者ボーナスとも言われますが、その期間は多少の体脂肪の増加には目を瞑り、とにかく食べて体重と筋肉量を増やすことがオススメです。また、どうしても食べられない、沢山食べることが苦手であるという方も、このダーティバルクに取り組んでみては如何でしょうか。脂質は1gあたり9kcalと、タンパク質、炭水化物と比較して2倍以上のカロリーを稼ぐことができるため、食べ慣れていない方はダーティバルクから始めて、食べることに慣れることも良いでしょう。

あなたが既に3年以上のトレーニング歴を持ち、ある程度の筋肉量の獲得に成功している方であれば、クリーンバルクをオススメします。トレーニング歴が長くなればなるほど、1年間で得られる筋肉量の増加率は少なくなってきます。そのため、ダーティバルクで得られる恩恵は年々少なくなり、蓄積するのは脂肪が大部分を占めることとなります。特に大会に出場されるコンペティターの方などは、減量期に筋肉量を落としてしまうことは絶対に避けたいため、クリーンバルクに取り組んでみる事をオススメします。

10年近く、或いはそれ以上のトレーニング歴を持つ、年中絞れた状態を維持しながらバルクアップしたい、アスリートであるため体脂肪を極力つけることは避けたい、そのような方々はリーンバルクに取り組む事をオススメします。トレーニング歴が10年にもなる頃には、筋肉量は年に1kg増えれば成功と言える段階に入っています。そのような場合、リーンバルクにより体脂肪の蓄積を最小限まで抑えつつ、バルクアップに望むことが賢明でしょう。また、サッカーや格闘技などの体脂肪をなるべく増やさずに身体のサイズを上げる、或いはパフォーマンスの向上を狙う競技に取り組んでいる場合においても、リーンバルクが最適と言えます。

 

 

以上が、理想のバルクアップとカロリー、そしてそれぞれの適性についての解説となります。

如何でしたでしょうか。