減量での停滞はなぜ起こる?停滞期の抜け出し方は?切るべきカードをトレーナーが徹底解説‼︎

停滞期

まず停滞期とはそもそも何か。ダイエットを始めてからおおよそどれくらいの時期に訪れるものかを解説していきます。

停滞期とは

停滞期とは、ダイエットに取り組む中で、体重や体脂肪率が殆ど動かなくなる時期を指します。多くの場合は、ダイエットを始めた当初はスムーズに体重が落ちるものの、継続するにつれて落ちない時期が訪れます。これを所謂停滞期と呼びます。停滞期は、ダイエットを行なっていればどんな方にも一度は訪れるといっても過言ではない現象で、いつでも悩みの種となります。停滞期の続く期間は人によって異なりますが、対策を打たなくては何ヶ月も続いてしまう場合も少なくないため、落ちていて対処する必要があります。

しかしながら、停滞期はある意味ではダイエットにおいてつきものであり、人間の生理学上自然現象とも呼べる事象です。

停滞期はなぜ起こる?

停滞期は自然現象と述べましたが、ではなぜ停滞期は訪れるのでしょうか?

人間が1日に消費するカロリーは、基礎代謝・活動代謝・食事誘発性熱産生の3つで成り立っています。活動代謝とは、所謂運動やトレーニングなど、身体を使った事による消費カロリーです。食事誘発性熱産生とは、人間は食事をした際、体内に吸収された栄養が分解され、体の熱として消費されます。これを食事誘発性といい、活動代謝と合わせて1日の総消費カロリーのおよそ3〜4割程度を占めます。

そして残りの6〜7割、つまり1日の総消費カロリーの大半を占める要素が、基礎代謝になります。基礎代謝とは、その人が生命を維持していく上での最低限必要なカロリーのことであり、体重や筋肉量に大きく左右されます。この基礎代謝は、ダイエットを継続し体重が落ちるにつれて、徐々に徐々に数値が低下していきます。これは完全なる自然現象であり、基礎代謝は体重が重い人の方が高く、軽い人の方が低いのです。この基礎代謝の自然低下が、停滞期を招く主な原因となります。

しかしながら、必要以上に基礎代謝の低下を招いてしまう悪手もあるため、そちらも後ほど解説していきます。

ダイエットの原理原則

ダイエット、即ち体脂肪が落ちるかどうかは、1日のカロリー収支によって決まります。「1日の総消費カロリー」が「1日の総摂取カロリー」を上回っていれば体脂肪は減り、逆であれば増えます。基本的にダイエットはこのカロリー収支の原則が大前提であり、こちらが守れていなくては、いくら食材のバランスを整え、運動を頑張ったとしても、体脂肪は落ちてはくれません。このアンダーカロリーの状態を作る上で重要なのが、基礎代謝です。

先述の通り、基礎代謝は1日の消費カロリーの内6〜7割を占めるため、カロリー収支において非常に重要な役割を担います。この基礎代謝が長期のダイエットや、過度な糖質、脂質の制限等により低下してしまうことが、停滞期を招く主な原因となります。

2つのダイエット法

ここまでは、停滞期とは何か、なぜ起こるのか、ダイエットの原理原則などを説明しましたが、ここからは、ダイエットの方法やその方法がもたらす効果、そして弊害などについて解説していきます。

 

・糖質制限ダイエット

 

糖質制限ダイエットとは、その名の通り主に糖質を制限するダイエットになります。制限の幅は様々ですが、少ないケースだと1日の糖質量を限りなく0に、多い場合でも、1日の総摂取カロリーのうち、1割程度に抑えます。その分脂質とタンパク質を多めに摂取し、この割合を全体の摂取カロリーの内6割程度を脂質から摂る方法を「ケトジェニックダイエット」と呼びます。

糖質制限とケトジェニックは厳密には同じではありませんが、糖質制限という枠組みでは同じとなります。糖質制限ダイエット最大のメリットは、効果の現れるスピードです。糖質を極端に抑えることで、体内のグリコーゲンを枯渇させ、その状態で運動などを行うことにより、素早く体脂肪の分解が狙えます。また、糖質は1gあたり3g程度の水分を含むため、糖質を制限し始めた直後は、その水分が体内から抜け、スムーズに体重が落ちます。そのため、目に見えて体重の変化が現れるため、モチベーションのアップにも繋がります。しかしながら、この落ちた体重というのは、体脂肪ではなく水分がほとんどであるため、ぬか喜びは危険です。

また、糖質制限には大きなデメリットも存在します。それは糖質を抑えたことによる、筋肉量の低下、およびそれに伴う基礎代謝の低下です。糖質制限ダイエットは、脂質を主に制限して行うローファットダイエットと比較して、短期間での体重減少には効果的であるが、筋肉量の低下を招きやすいというデータがあります。また、常に体内の等が不足した状態である場合、人間の身体は筋肉を分解して糖を作り出す、「糖新生」を行おうとします。その結果、筋肉量の低下を招き、基礎代謝まで減少してしまうのです。これがダイエットにおける停滞期を招くケースも少なくないため、気をつけるべきポイントとなります。

 

・脂質制限(ローファット)ダイエット

 

脂質制限ダイエットは、ローファット(脂質低め)ダイエットとも呼ばれ、最もポピュラーなダイエット法と言っても過言ではありません。その名の通り、脂質の摂取を抑え、カロリー摂取を控えようという方法になります。

脂質は1gあたり9kcalと、1gあたり4kcalの炭水化物(糖質)、タンパク質と比較しも高カロリーであり、この脂質を控えめにすることで、総摂取カロリーを抑えやすいです。また、その分糖質をある程度摂取することができるため、運動時のエネルギー不足にも陥りにくくなります。

ローファットダイエットでは、PFCバランス(P=タンパク質、F=脂質、C=炭水化物)のバランスを、3-2-5、或いは3-1-6にすることが基本であり、脂質の摂取も完全に控えるというわけではありません。体重のおよそ×0.7g程度は摂取する必要があり、それを下回ると腸内環境の悪化や体温の低下による基礎代謝の減少、男性であればテストステロン値が減少してしまうなど、マイナスな要素が大きく出てしまいます。そのため、ローファットダイエットといえど、脂質もある程度は摂取し、バランスの良い食事を心がける必要があります。

糖質制限と脂質制限、どちらが効果的?

ではこの糖質制限とローファットダイエットはどちらがより効果的なのでしょうか?それぞれのメリットとデメリットを交えながら、解説していきます。

結論から言うと、ローファットダイエットがおすすめです。糖質制限ダイエットは、短期間での体重減少には有効ですが、長い目で見た場合、筋肉量の低下のリスクが高く、徒労に終わる可能性が高くなります。それに対し、ローファットダイエットでは、基礎代謝が低下するリスクを抑えやすく、長期的な成功も見込みやすいです。

糖質制限ダイエットは、食欲の暴走を招きやすく、所謂キレ食いを発症してしまうリスクもあります。それらを鑑みても、長期的にはローファットダイエットに取り組むことをおすすめします!

停滞期、どうやって抜け出す?!切るべきカードは?

停滞期の概要や、なぜ発生するのかは説明してきましたが、ここからは陥った停滞期からどうやって抜け出すのか、その対策や対処法を紹介していきます!

 

・チートデイ

 

みなさん一度は聞いたことがあるであろうチートデイ。ダイエットを頑張る自分へのご褒美に、せめて一週間に一度は好きな物を、何か大事なイベント事の時だけ。チートデイの定義は人それぞれでしょうが、本来の意味でのチートデイは、落ちた代謝を一時的な大量の食事により活性化させ、停滞期を脱するためのものです。

食事制限を続けると、脳が自分の身体は飢餓状態であると錯覚します。そのような状況に陥ると、脳は身体の基礎代謝を下げ、所謂省エネモードに切り替えて命を守ろうとします。この省エネモードこそが停滞期の原因の一つであり、これを打破しようというのがチートデイとなります。チートデイは基本的に1日限りで好きな物を好きなだけ食べるという日であり、縛りなどは特にありません。チートデイでは、普段抑えていた炭水化物や脂質を大量に入れることで、腸内環境の活性化に繋がり、結果としてダイエットが加速するケースもあります。

しかしながら、チートデイは炭水化物と脂質を際限なく身体に詰め込むため、当然カロリーもオーバーし、ダイエットの進行を妨げてしまう場合もあります。そのようなリスクを負いたくない方は、次の方法に取り組んでみてください。

 

・カーボリフィード

 

カーボリフィードとは、チートデイと違い、カーボ(炭水化物)のみを、大量に摂取する方法となります。基本的には体重の×10〜12g程度の炭水化物を摂取することを目標とします。カーボリフィードでは、摂取する栄養素が主に炭水化物となるため、最も体脂肪の蓄積リスクを含みやすい、炭水化物+脂質のリスクを防ぐことができます。また、カーボリフィードではチートデイと比較し、「レプチン」という満腹を感じさせるホルモンの回復において、優位に効果が認められており、その後の食欲のコントロールにおいても有意義となります。そのため、チートデイが怖いと言う方は、リフィードを設けて停滞期を脱しましょう!

 

・カーボサイクル

 

カーボサイクルとは、炭水化物の量を比によって使い分けるダイエット法です。脂質とタンパク質は常に一定の量を摂取し続け、共に炭水化物のみを変化させます。

例を挙げると、3日スパンのカーボサイクルでは、「1、2日目、ローカーボ(炭水化物100g)、そして3日目にハイカーボ(炭水化物300g)、また1日目に戻って炭水化物100g…」と言ったように、炭水化物の量を変化させ、身体をダイエットに慣れさせないようにします。このカーボサイクルをうまく取り入れることで、停滞期に悩まされることなく、ダイエットを成功させることができます。

 

・有酸素運動を取り入れる

 

減量において重要であるのは、最初からカードを切りすぎないことです。いきなり開始時点で全てのカードを切ってしまうと、いざ体重が落ちにくくなってきた時に、打つべき手がなくなってしまうからです。そのため、この有酸素運動という必殺カードも、最初の時点では手札に隠しておくことがおすすめです。

有酸素運動は、筋力トレーニングに代表される筋トレや、ダッシュなどと比較し、長時間続けることのできる強度の低い運動などを指します。ジョギングやウォーキング、長距離の水泳などがそれに該当し、無酸素運動と比較して消費カロリーが高いため、ダイエット効果が高いといえます。

この有酸素運動を、減量が停滞してきた時に取り入れることは、非常に効果的なテクニックとなります。まず初期段階では、2日に1回、20分の有酸素運動などから始めます。ここでいきなり毎日60分などを行ってしまうと、いざまた停滞が訪れた時に、70分、90分、120分…と撃つ手が無くなってしまうためです。そのため、最初は余力を持って取り組む必要があります、

おすすめの有酸素運動は、「ウォーキング」「軽いランニング」「傾斜をつけたトレッドミルでのウォーキング」です。有酸素運動では、息を上げすぎないということが重要となります。結果を出すために張り切りすぎて呼吸が荒くなってしまうほどになってしまうと、それは有酸素運動ではなく、無酸素運動となってしまうため、目安としては、「隣にいる人と会話ができるほど」の強度に留めておきましょう!

また有酸素運動を行うにあたって、時間帯も大きなポイントを担います。有酸素運動は、体内から糖質が枯渇した時間帯、即ち朝の寝起きと、トレーニング後に行うことがおすすです。朝は前夜から何も栄養を摂取していないため、身体が枯渇状態であり、トレーニング後は、トレーニングによって体内の糖質が利用され、こちらも枯渇状態であるためです。そのように糖が体内で不足している状態で有酸素運動を行うと、脂肪が優先的に利用され、体脂肪の減少につながります。

いかがでしたでしょうか?

今回はダイエット・減量における停滞期とそこから脱する方法、対策や切るべきカードの解説をさせていただきました!

ダイエットに取り組むも、なかなか上手くいかない… いつも停滞してそこで挫折してしまう… このようにお悩みの方は是非参考にしてみてください‼︎